このゲームの資源は有限である。と言われると、不思議な感じがするだろう。このゲームは時間が経つ毎にLaneCreepやNeutralCreepが生成され、Kill等によるBonusGoldもあり、無限に資源が産出されるが、ある一定の時間までに産出される資源の量は、つまり、10分まで、20分までに産出される資源の量は有限なのだ。各チームがある時間までに稼げるお金の量というのはある程度決まっているので、それを有効活用するために作られた戦略が、1to5systemである。これは、端的に言えばチームが獲得するGoldをどのようにチーム内で配分するかを決めるシステムである。例えばチームとして1万Gold所持していた時に、これを5人で均等に2千Goldずつ分け与えるのか、それとも3000、3000、2000、1000、1000Goldのように差をつけて分け与えるのかを事前に考えておくシステムの事である。そして、1to5systemは後者を意味する。理由はいくつもあるが、大きな理由としては、このゲームは異なるHeroが同じアイテムを所持したときに出せるゲームインパクトが大きく異なる事と、序盤における主な収入源であるラストヒットを効率よく稼ぐ為の2つである。例えば、Battle Fury、Vladmir's Offering、Power Treads、Butterfly、Heart of Tarrasque、Manta StyleをもったAnti-MageとCrystal Maidenでは集団戦中におけるゲームインパクトが大きく異なる。逆に、Boots of SpeedしかもってないAnti-MageとCrystal Maidenではこちらも集団戦中におけるゲームインパクトが大きく異なる。Anti-MageはItemがないと集団戦で何もできないが、Itemがあればあるほど指数関数的に強くなる。一方で、Crystal MaidenはItemがなくても集団戦中に大きなゲームインパクトが出せる一方で、Itemが増えた所で爆発的にゲームインパクトが強くなるわけではない。その為、序盤(というか中盤終盤もだが)におけるfarming priority(lasthitの優先度→お金を稼ぐ優先度)をAnti-Mageを優位にすることで、Anti-Mageに早くItemを入れて強くなってもらうという考え方である。他にも戦略は複数存在するが、6.88までのDota2ではこの戦略がmajorな戦略となっていた。

 で、このfarming priorityの順番をチーム内で1番から5番までつけたので、1 to 5 systemと呼ばれている。例えばA、B、C、D、EというHeroがいたとしたとき、1番をA、2番をB、3番をC、4番をD、5番をEとする。この時、Aが一番farming priorityが高く、優先的にラストヒットを得られる。Eがラストヒットを取れる場合であっても、Aに譲る、という具合である。このシステムが考え出された背景には各Hero毎にItem依存度が異なるというゲームバランスがある。例えば、Item依存度が低いHero5人でチーム構成を組むと序中盤は相手チームに対して大きな有利が得られるが、終盤戦で巻き返されてしまう事がある。一方で、Item依存度が高いHero5人でチーム構成を組むと、終盤は強力な物の序中盤で歯が立たず負けてしまう事がある。その為、Item依存度が低いHeroで序盤を乗り切りつつItem依存度が高いHeroにたくさんお金を稼いでもらうという戦略が生まれた。この戦略を取る上でfarming priorityをチーム内に作る、という戦略が強力だったため、現在まで用いられている次第である。具体的に言えば、AにItem依存度が高いHero(carryである事が多い)を置き、序盤のlasthitをAにまわし、序盤の内はDやEがAを介護する。その上でAにはきっちりとItemを買い揃えて貰い、終盤の集団戦で勝つ。という事である。ほとんどの場合、一番がsafelaneを担当、二番がmidを担当、三番がofflane(sidesolo)を担当し、四番と五番がチーム内の介護をして回るという事がおおい。代表的なLane構成としては2-1-2や3-1-1があるが、そのうち複数人がいるLaneではfarming priorityが高い人がlasthitを得、他の人はfarming priorityが高い人がlasthitを得やすいように画策する。7.00になり、Item価格が据え置きにもかかわらずGoldの産出量が増えため、多少戦略の変化はみられるものの、長らく王道として使われている戦略であり、かつこの戦略を基本として戦術等の話が行われる事が多いため、覚えておいて損はないはずだ。

 3-1-1というLane構成は、SafeLaneにhardcarryを置いた時に取られることが多い。4番、5番のHeroが1番のHeroにお金を入れる為、対面の相手Heroを追い払ったり(ハラスと呼ばれる、Harassmentから来ているのだと思われる)、pull(Creepを中立クリープの方へ誘導するテクニック。これをする事でLaneが下がり、相手の介入を受けにくくすることができる)をしたり、アグロ(aggressiveが語源らしい?Creep等のAIを利用して自分に優位な状況を作るテクニック、今回はCreepの位置を調整する事でlasthitを取りやすくするために使われる。)を用いたりしてとにかく1番手にお金を入れるLane構成である。その分、midとoffが手薄になる為、midとoffには負担がかかるLane構成である。大会等で一番用いられるレーン構成でもある。

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